「知っている」から「できる」へ
プリセプターになる方は、臨床現場では実践経験が重要であるということを知っていると思います。
私自身そう思っていますし、私のプリセプティにもそう教えてきました。
いくらケアや処置、手技の方法を知っていても、それができるかというとそうではないですよね。
学生時代の時に必死で勉強したことが、現場では全く生かせない。あなたもそんな経験をしたことがあると思います。
「知っている」から「できる」に変えるためには、まずは経験をすることが大切です。新人さんにはどんどん経験させてあげましょう。
その結果、できることが増え自信もついてきます。
私の当時のプリセプティは
「初めての処置やケアをするのはすごくプレッシャーですが、先輩は率先してやらせてくれたので本当に感謝です!」
と言ってくれました。
今の新人さん達は受け身の子が多く、よく指示待ちタイプと言われます。
プリセプターとしては、積極的に「まだやったことないのでさせてください!」と言ってもらいたいものですが、なかなか難しいものです。(私も指示待ちタイプだったので・・・)
なので、プリセプターの方から経験できるように声掛けをし、調整していくことも大切だと私は思います。
私が今働いている病院にも去年新人さんが1人来たのですが、2年目になった今でも一人でCv挿入介助(直介)につけません。
とても真面目な子できちんとメモを取りそれをまとめ勉強しているのですが、実際に介助につくとなると、清潔区域を汚染したり、次の工程を忘れてしまったりします。緊張して頭が真っ白になるようです。
彼女に足りないのは、まさに経験と自信だと思うのです。
Cv挿入介助には何度も入って見ているのですが、直介にはつかずいつも補助(患者さんを押さえたり、声掛けしたり)ばかりだったんですね。
それを知っていたので、私の担当患者がCv挿入の際は必ずその子に直介をしてもらうようにしました。
(プリセプターの先輩がいる手前、中途採用の私がしゃしゃり出るわけにはいかず・・・こっそりいろいろと指導しています^^;)
その際はできるだけ口出しはせず見守り、その子が迷ったり、違うことをした場合のみ指示します。
これまで2〜3回ついてもらいましたが、少しずつできるようになってきたので独り立ちももうすぐといったところでしょうか。
これを早い段階からやっていれば、今ではとっくにできていたことでしょうし、もう少し早くから自信をもって仕事ができていたでしょう。
看護実践は自分でやる方が断然楽です。自分がやったほうが早いし、うまくできます。
Cv挿入介助にしても、新人さんはすぐにはできません。物品も一つ一つ確認しながら準備をして、患者さんの体位を調整して・・清潔を保ってガーゼを開けたり、生食を準備したり、私たちが当たり前のようにしていることができないのです。
しかし、新人さんにはできるようになってもらわなければいけないですよね。
危なっかしくて見ていられないときなどは、自分がメインでやりたくなるという事もあるのですが、それでは新人さんは伸びません。
自分がやったほうが早いことも新人さんにやらせるというのは、大変なことです。
新人さんにやらせても看護の質を落とさないよう、患者さんに不利益が生じないよう、フォローしなければいけず、「見守る」ということも意外と労力がいります。
また、新人さんが成功体験を得ることができたら、それをプリセプターからフィードバックすることも大切です。
できていることを認め、うまくいかなかった部分も「もう少しこうしたほうが上手くできるよ」とアドバイスをすることで、プリセプティが「自分でもできそう」と自信をもたせることに繋がっていきます。
ただし、なんでも手あたり次第多くのことを経験させればいいという訳ではありません。
まずは達成可能な小さな目標(簡単なケア、処置)から設定し、きちんとプリセプティの成長段階に合わせて進めていくようにしましょう。
できることが増えればその分自然と自信もついてきます。
ぜひ、知っていることよりできることを増やしてあげるよう関わっていってほしいです