ケーススタディ面倒くさい。そんな私がケーススタディを通して学んだこと

 

 

私は看護師2年目の時にケーススタディをやりました。

 

「看護学生の時もやったのにまたケースか・・・あ〜面倒くさい。」というのが本音でしたが、クリニカルラダーの教育に組み込まれていたので仕方ないですね^^;

 

 

当時は仕方なくやらされた感がありましたが、この時このケーススタディをやっていて本当によかったなあ、と今では思います。

 

 

私は当時、『生きる気力を失っている高齢者に対する援助』というテーマでケースをとりました。

 

80代のある女性患者さんがおられたのですが、3か月の治療によって入院前は自立していたADLが全くできなくなり、ほぼ寝たきりになってしまったんですね。

 

24時間ベッド上で過ごし、経口摂取もできず、毎日吸引と体交の繰り返し。ケアも看護師のなされるがまま、意識はあるけれど何に対しても興味・関心を示さず、無表情で、まさに体力も気力もない状態でした。

 

言い方は悪いですが、生きているのではなく、生かされているという感じで・・・。

 

その時、師長さんからの「患者さんの気力を取り戻してみるとかどう?」というアドバイスをきっかけに、「この患者さんにもう一度生きる気力を持ってほしい!もう一度笑ったりできるように、少しでも生活の張りを感じてほしい!」という想いで、このケースに取り組むことにしました。

 

 

それから、どうすれば患者さんの気力を引き出すことができるのかを考え、約20日間その患者さんに積極的に関わりました。

 

すると、その20日間で患者さんに変化が現れたのです。

 

 

入院中全く声を聞いたことがなかったのですが、「ありがとう」などの発語が聞かれるようになり、今まで無表情だった顔に笑顔が見られるようになり、全く食べようとしなかった人がアイスクリームを手に取り食べようとしたり・・・

 

ケースを行う前に比べ、明らかに表情や言動に良い変化が現れたのです。

 

 

何も話さなかった患者さんに「おつかれさま。」と言われたときは本当に嬉しかったですし、何よりも看護師の関り方ひとつで患者さんにこんなにも変化が現れるんだ、と看護の持つ力を改めて感じました。
これが医者にはできない、看護師の仕事なんだと。

 

 

ケーススタディには様々な目的がありますが、患者理解や自己成長、「看護とは何か」を明らかにし看護の質を高めることも目的の一つです。

 

日々の忙しい業務に追われ医者の診察補助や処置介助をこなし、看護師の本来の仕事(看護の本質の部分)を忘れていた私に、「看護とは」を改めて考えさせてくれたケースでした。

 

 

私はこのケースを通して看護の力を改めて感じ、看護のやりがいや魅力に気づくことができました。

 

理想かもしれないけれど、これからもこういう看護をやっていきたい。
それから急性期を一通り学んだら、いずれ回復期や療養型で働いてみたいと思うようになりました。

 

そして、現在は療養型の病院で働いています。なぜなら急性期病棟よりも長い期間ゆっくりと患者さんに向き合えると思ったからです。

 

しかし、療養型病院には療養型病院の忙しさがあり・・・なかなか自分の思っている看護ができていないというのが現状ですけどね^^;

 

 

ただ、今の私が言えるのは10年前にこのケースと出会えてよかったということです。

 

少し大げさかもしれませんが、このケースが今の私の看護師人生を支えてくれています。このケースに出会っていなければ、看護の魅力に気づくことなくただ仕事をこなすだけの看護師になっていたかもしれません。毎日「今日も仕事かあ、行きたくないなあ、看護師辞めたいなあ」と思いながら仕事に行っていたかもしれません。

 

 

ケーススタディ面倒くさいなあとか、やりたくないという気持ちはとてもわかります。実際私もそうでしたからね^^;

 

給料に反映されるわけでもないし、時間と労力を使うとても大変な作業です。

 

 

しかし、必ず何かの学びは得られます。

 

 

多忙な仕事の中で行うのは大変ですが、ぜひ前向きに取り組んでもらいたいです

 

 


HOME プロフィール お問い合わせ