ケーススタディ|計画書の作り方

 

 

ケーススタディのテーマがほぼ決まったら、次は計画を立てていきましょう。

 

もちろん綿密に計画を立てた方が実践しやすいですが、その分時間がかかります。

 

まずは、簡単な計画を立て、ケーススタディを始めながら計画内容を修正したり、付け加えていく方がいいと思います。

 

計画書は病院から提示されたものがあれば、それに記入してください。

 

 

ここでは、私が作った計画書をもとに順番に説明していきますね。

 

 

 

1.ケーススタディのテーマ

 

 

テーマの書き方は、意外と難しいです。

 

ポイントは、簡潔な言葉で、しかもそのケーススタディの内容が一目でわかるように書くことです。

 

 

私の場合、メインテーマが「生きる気力を失っている高齢者に対する援助」で、サブテーマを「意図的な関りを通しての患者の変化」としています。

 

メインテーマは広く、サブテーマはその内容をより具体的に表現するといいです。サブテーマはつけなくてもいいのですが、つけた方がよりわかりやすいかな、と思います。

 

私の一番初めに書いた計画書では、メインテーマは同じですが、サブテーマが「入院生活の中で患者が喜びを感じることができるようにするには看護師のどのような関りが必要か」でした。

 

う〜〜ん、長いですね。。

 

上司からのアドバイスの欄にも、「もう少し簡潔に表現しましょう。」と書かれていました^^;

 

 

ただし、テーマは最終的にレポートにまとめた時に決めればいいので、この時点で絶対に決めておかないと、ということははありません。

 

レポートを書き終えて、最終的なテーマが決まることもあります。なので、計画書の時点では、大体の形を決めておけばいいですよ。

 

 

 

2.動機

 

 

なぜ、このテーマを選んだのか、その理由やきっかけを書きます。

 

「患者のどの部分が問題と思っていて、その問題をどう解決したいか」を考えると書きやすいと思います。

 

 

私が実際計画書に書いた動機です。

 

入院して約3か月、病態が安定せず現在も治療を続けている患者がいる。患者は体力も落ち、ケアに対してもほとんど反応はなく、何に対しても関心を示さず無表情で生きる気力を失っていると思われる。病態も慢性的で完治することは難しいと思われるが、日々の生活の中で、少しでも患者に気力を持ってほしい。生きる意欲を引き出すことは難しいかもしれないが、生活の中で喜びを感じることで生きていると実感してほしい。また、それを感じることで、患者に何か変化が現れるのではないかと考えた。

 

この部分がレポートの「はじめに」の部分に入ってくるようになります。

 

 

 

3.問題の背景・前提

 

 

なぜその問題が患者に起こっているのか、を考えます。

 

私のケースの場合、「患者が気力を失った原因」です。

 

それは、やはり長期の治療と安静による体力の低下と廃用症候群の進行。それに加え、毎日変わらない刺激のない入院生活、家族・医療スタッフなど周囲からの精神的アプローチの不足、などが考えられます。

 

これを考えると、「どのようにその問題を解決していけばいいか、どこにアプローチをしていくか」という問題の解決方法が見えてくるようになります。

 

 

 

4.ケーススタディの目的

 

 

私のケースの場合、「患者の気力を引き出すことが目的」なのではありません。

 

患者の気力を引き出す援助を考えたとして、その援助が適切であるのかを考察することが目的です。

 

つまり、私はケーススタディを行うことで、「患者に気力を持ってもらうためには、看護師のどのような関りが必要であるのか」を考えたいのです。

 

要するに、自分がケーススタディを行うことで明らかにしたいこと、考えたいことが目的になります。

 

 

 

5.ケーススタディの方法

 

 

研究対象、研究期間、研究場所、データ収集法などを記入します。

 

特にデータ収集法はできるだけ詳しく記入しましょう。
看護記録からなのか、プロセスレコードを使うのか、アンケートを取るのか。

 

また、面接や観察によって情報を収集する場合もあります。どのような観察法をとったのか、データをどのように集めるのか、集める時の視点は何か、などを説明すると、わかりやすいですね。

 

ちなみに、私は看護記録とは別に、どの様な関りをしてどの様な反応があったのか(表情、言動含め)など患者さんの様子を細かく記入できるよう別で用紙を作り、病棟スタッフにも記入してもらうようお願いしました。そうすることで、自分の勤務以外の日の患者さんの様子がわかるようにするためです。

 

また、患者の生活史を知るために、家族や以前入居していた施設からの情報収集も挙げました。

 

そして、患者へ具体的にどの様に関わっていくかをスタッフと共有し、ケーススタディの意図を説明することも大切ですね。

 

 

 

6.タイムスケジュール

 

 

期限に間に合わない!ということが無いように、大まかなタイムスケジュールを考えておくことも大切です。

 

 

@計画の時期:テーマを決める、文献を調べる、方法を考える、計画書を作る

 

A実施する時期:情報収集、実践、整理、分析、評価

 

Bまとめと発表の時期:内容をまとめる、論文にまとめる、発表原稿を作る、発表の媒体(スライドなど)を作る

 

 

以上の3つの時期に分けて考えるとわかりやすいです。実践よりも、論文、発表準備に時間がかかりますからね^^;

 

余裕をもって計画を立てましょう。

 

 

 

7.環境、人的資源、倫理的配慮

 

 

まず、ケーススタディをやる前に、患者さんあるいはその家族の同意を得ておく必要があります。研究を行うことで、患者さんに不利益が生じてはいけませんからね。

 

また、協力や指導を依頼したい人にも、あらかじめ説明をしておきましょう。医師、病棟スタッフ、コメディカルスタッフなどの協力が必要になる場合もあります。

 

 

 

まとめ

 

 

以上、計画書の書き方を7つ順番に説明してきましたが、なんとなく把握できたでしょうか。

 

実際に書いてみることで自分の考えを整理できるので、何はともあれ書いてみてください。

 

わからないところは指導者がアドバイスしてくれますので、完璧にしようと意気込まなくても大丈夫ですよ

 

 


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